2001年7月25日

「県林業活性化への提言」に寄せられた熱い期待
                            

日本共産党前奈良県議会議員  北野 重 一

「議会と自治体」2001年10月号掲載

はじめに
 日本共産党奈良県委員会と同南地区委員会が「奈良県林業の活性化についてのシンポジウム」を開いたのは、参議院議員選挙の公示が三週間後にせまった六月二十四日、場所は吉野郡の玄関である大淀町文化会館視聴覚室。吉野郡大淀町は、五月二十日投票で行われた町長選挙で、県下ではじめて日本共産党が与党になった森 勝彦町長が誕生した人口二万人余りの町。
 シンポジウムはコーディネーターが林業経済史研究者の谷彌兵衞さん、パネリストが奈良県森林組合代表理事専務の堀内正之(まさゆき)さん、清光林業代表取締役の岡橋清元(きよちか)さん、ヤマツ産業有限会社辻谷達雄さん、日本共産党奈良県委員会から私、北野重一の四人。吉野町の福井良盟町長、川上村の大谷一二村長、大淀町の森勝彦町長代理の縄田昌弘収入役が来賓として最後まで参加してくれました。九十人が定員の会場には、吉野町、大淀町、川上村、東吉野村など吉野郡各地をはじめ県下から林業経営者や木材協同組合、森林組合の幹部、製材業者や無所属の地方議員など百人をこえる人たちが参加、盛会でした。
 ある全国紙の奈良版が参院選の特集記事で「ウイング広げ」「保守層への浸透も図る」という見出しでこのシンポジウムとりあげました。それ自体は、大淀町長選をはじめ保守無党派層との対話や共同をすすめる日本共産党の活動をリアルに紹介する記事でした。しかし、日本共産党奈良県委員会・南地区委員会が林業問題でのシンポジウムを開いたのは、山林所有者、素材業者、製材業者、消費者、環境保護団体などの関係者が一堂に会して危機的状況にある奈良県林業、とくに吉野林業をどう活性化するのか、森林資源をどう保全していくのか意見を交換することが目的でした。

奈良県林業―とくに吉野林業の危機的状況
 奈良県は吉野林業に象徴される林業県です。かつて、木材は奈良盆地の米とならんで本県の経済を支えてきました。いまではその比重は低下しましたが、なお木材は地域を支える重要な産物であり、林業は山村地域の基幹産業です。
 奈良県の森林面積は二八万四千fで、県総面積の七七%を占め、その九五%(二七万一千f)が民有林です。また、民有林の人工林率は六二%と高く、その主体はスギやヒノキです。蓄積は六千万立方b、一f当りの蓄積は二二八立方bで、全国平均の一六二立方bを上回っています。しかし、三五年生以下の幼齢林が四一%を占め、間伐・保育がなお必要です(統計数字は、以下主として二○○一年度「奈良県林政の概要」、九九年度「奈良県林業統計」からの引用)。
 民有林にかかる道路密度は一三・二b(一f当り)で、林道・作業道の整備がたちおくれています。林業機械を導入するためにも、林道・作業道の整備が急務です。また、本県林業の中心地である吉野山地は地形が急峻で、近年、ヘリコプターによる出材が普及してきましたが、コスト面できびしいものがあります。
 県内には、数千fの森林を所有する不在村の大山林所有者がいて、不在村者の所有森林面積は五一%と半数を超え、全国第一位です(一九九○年世界農林業センサス)。他方、保有山林面積一f〜五f未満の林家は一万七千百九十五戸です。そのうち林業を主業としてやっていける目安である二○f以上の森林を所有する林家は一千七百戸、七%にすぎず、圧倒的大多数が零細な林家(九九年度「奈良県県林業統計」)です。
 本県の林業は、豊富な森林資源を培養することによって、木材の生産と製材などの木材産業を発展させ、地域経済を支えています。県産材の市場における評価は最高位にあり、とくに吉野材は建築用材としては最高級品としての名声を保持しています。これは山村地域の人々が数百年もの年月をかけてきずきあげたものです。
 林業・木材産業は、いまたいへんきびしい状況に直面しています。
 県内のスギとヒノキの価格(立方b当り)を、最高時の一九八九年と一九九く年とを比較すると、スギは五万四千六十八円から二万九千四十三円に、ヒノキは十二万六千八百四十九円から五万三千六百四十九円に下がっています。スギは、五七%、ヒノキは四三%に落ち込んでいます。それに反して、苗代や賃金など生産コストが上昇しているので、林業経営は苦しくなる一方です。その結果、スギとヒノキの生産量は、高度成長期の一九六五年の八○万三千立方bから九九年には三一万三千立方b(四○%)に、同時期の造林面積は五千三百二十五fから三百二f(五・七%)に大幅に減少しました。
 林業所得は低落を続け、一九八○年の三百七十七億七千万円から九八年は百二十八億三千万円(四○%)に落ちこんでいます。また、十五歳以上の林業就業者は、六五年の七千二十人から九五年は二千三百五十一人(三三%)に減少しており、平均年齢は五十七歳で、高齢化の一途をたどっています。このままでは、林業技術の継承ができなくなります。  林業の採算性の悪化により、植林の放棄、枝打ちや除間伐の放置など森林の荒廃が目立っています。
 地域の基幹産業である林業・木材産業の低迷は山村地域の将来に大きな暗雲を投げかけています。「せっかく木を育てても、利益どころか元もとれない」「いまの状態では植林する意欲がわいてこない」といった深刻な悩みが聞かれます。このシンポジウムへの参加をお願いするのに、林業経済史研究者の谷彌兵衞さんと「川上村さぷり」という川上産吉野材販売促進協同組合を訪ねたさいに代表理事や副理事長ら幹部の人たちは「われわれの努力であと二年は、なんとかやれるだろうが、このままでは見通しがたたない」と真剣に訴えていたのが印象深く脳裏にのこっています。


懸案の課題―
奈良県林業の活性化についての提言発表

 日本共産党奈良県委員会は、奈良県の重要産業である林業と木材産業の振興、山村地域の過疎化をくいとめ、住民の生活と福祉向上にどうとりくんでいくか、1961年の党綱領が確定された時期から奈良県における日本共産党の重要課題として位置づけ、努力してきました。日本共産党奈良県委員会は、辻第一元衆議院議員、藤田スミ元衆議院議員、県議会議員団、地元の日本共産党議員、支部や支持者のみなさんとともに、一貫して林業や木材産業を重視して、経営や労働にたずさわる人たちと懇談し、切実な要求実現のために奮闘してきました。とりわけ台風七号の被害のさいには、辻衆議院議員(当時)とともに私も県会議員として桝本実雄東吉野村村会議員、塩谷章次川上村村会議員らとともに被害地を訪れ、災害復旧のために奮闘しました。これらの要求やとりくみをふまえ、昨年一年間、奈良県林業の活性化について林業経済史研究家の谷さんの県産材の活用やバイオマス発電などの先進的な地域の視察のうえにたった理論的実践的な面からの大きな協力を得て、南地区委員会の議員や吉野民主商工会の役員・事務局長らと検討し、今年二月二日に「当面する提言」として発表しました。
 谷さんは、奈良県教職員組合の副委員長をされ、磯城郡田原本中学校で退職を迎えたあと、大阪市立大が大学院に入学、林業経済史を研究してきました。出身が東吉野村で、祖父が「山守」(注1)として林業にたずさわってきたこともあって、吉野林業の歴史の研究にたずさわり、吉野木材協同組合連合会設立50年史「年輪」の編纂にたずさわった人です。
    林業活性化の根本解決とともに当面の具体策を提起した「提言」
 「提言」は、奈良県林業の実態のうえにたって、林業を危機的状況においこんだ根本的原因について、簡潔にのべ、政策の基本を明らかにして、党中央農漁民部の助言も得て、国に対する要求と県や市町村で実行できる具体的要求とを区別して提案しています。
 林業活性化をはかる政策の基本は、林家や木材業者が意欲をもって経営にとりくめるように、市場原理万能論の暴走を民主的に規制し、国や自治体の援助が必要だと指摘し、それらを効果あらしめるためには外材の輸入を規制して、木材の自給率を高めなければならないと強調し、国に対して次の趣旨の要求をかかげています。
 ・外材の輸入を規制すること、さしあたり木材と製材品の緊急輸入制限(セーフガード)を発動する。
 ・台風七号の復旧事業について地域の実勢にみあった補助単価、復旧事業期間の延長、特別枠での融資や補助金など地域の実情にみあったものにする。
 ・野性動物による被害に対して共済制度を適用する。      
 ・放置森林を適切に管理するために直接支払制度を林業にも適用する。
 ・労災保険の保険料率を大幅に引き下げる。木材伐出業の労災保険料率は賃金の一千分の一三四で、全額業者負担です。こんな高い保険料率はトンネルの掘削業と水力発電所建設業だけです。せめて建設業の一千分の三○、造林業の一千分の三九並みに引き下げる。
 また県・市町村に対する要求は次のとおりです。
 (県産材の利用拡大への支援策)
・県産材の需要の拡大のために学校・公民館・体育館・住宅など公共施設や土木工事、商店街のアーケード、歩道のタイルなどに県産材を使用するよう誘導目標を設定して推進する。
・十津川村立折立中学校の体育館は木造ですが、学校や事務所の机・椅子を地場生産の木製品に入れかえをする。  
・県産材使用の住宅に対する助成を拡充し、融資や税制上の優遇措置を広げる。
・幼齢期の間伐材の活用をすすめ、使用比率に応じて補助率を増やす。        
 (コスト引き下げへの支援策)
・木材の生産コストの引き下げの援助のために整備が遅れている林道・作業道の延長、ヘリコプター出材に対する補助制度の導入、モノレール設置事業の支援策の拡充、県林業機械化推進センターの強化と林業機械の貸し出しなどをすすめる。
 (森林組合の経営基盤強化への支援) 
・森林組合を活性し、植林・保育・伐採を援助できるよう常勤の作業員と経営指導員の配置など経営基盤を強化する。
 (若い林業労働者の確保対策)
・Uターン、Jターン、Iターンなど、青年に対する働きかけ、研修制度、給与・社会保険・退職金制度の充実、就労日数の確保・安全対策若い林業就業者を確保し養成する。林家の後継者支援のために月額十五万円を一定期間支給する。
 (自然の保護と活用)
 ・川上村が吉野川源流域の原生林を四○○f購入し保存することになりましたが、原生林など源流地域の原生林や里山を守る。
 ・吉野町矢治(やじ)や東吉野村小(おむら)では、区有林をケヤキに変えています。急傾斜地や尾根筋などは広葉樹林に植えかえる。
 ・木くずや除間伐材を利用した発電所(三重県美杉村など)、小水力発電所(吉野郡下北山村で建設)を建設し、地域の活性化をはかる。


画期的だった林業シンポジウム
 シンポジウムが大きく成功した要因の一つは、三人のパネラーがいずれも林業・木材関係者にとっていわば名前の通った権威ある人だったことです。

パネリストの横顔
 そのひとりが、清光林業代表取締役の岡橋清元(きよちか)さんです。岡橋さんがパネラーになってもらったのは、奈良市議会議員の西本守直さんの紹介でした。西本奈良市議は、長年、県の治山課に勤務して、通称「岡橋山」といわれる、吉野林業の中核地帯である川上村、上北山村、東吉野村、吉野町約一九○○fのうち上北山村の七二○fにおよぶ清光林業の直営の山に何回も足を運んで、岡橋さんとは知己の間柄でした。
 岡橋さんは、吉野では四大山林所有者のひとりで、「岡橋山」の山主である岡橋家十七代当主で、県外に住む不在山林所有者。当日、シンポジウムに参加した弟の清隆さんと清光林業の経営をきりもりし、直営林に四輪駆動や二d車が通れる林道を自力で整備、雇用関係も月給制、社会保険制度、退職金制度、社宅などが整備されており、女性二人を含む平均年齢三○歳の青年が現場でがんばっています。清光林業は、直営林以外の「岡橋山」だけでも五十九人の山守が、森林の管理や施業をまかされていることにみられる、吉野の慣行的林業経営にあって先駆的な取り組みとして注目されています(清光林業創立五十周年「調和」より)(清光林業創立五十周年「調和」より)。
 もうひとりは、ヤマツ産業有限会社取締役会長の辻谷達雄さんです。辻谷さんは、川上村柏木で生まれ、山林労働に従事、「山守」の下で働くという川上村の封建的な上下関係が強い慣行的な労使関係に批判をもち、独立してヤマツ産業を設立、造林育林が事業の中心のユニークな経営と林業労働の後継者育成で知られた人です。社員は若い人を中心に9人、会長、社長、専務も一緒に仕事をするので実働は12人(優良事業体事例報告「育林は育人から」より)。最近は奈良県機械化センターで講師を依頼されたり、台風七号の被害からの山林の復元など多村にも依頼されて育林指導にあたっています。都市と山村との交流ということで川上村からの依頼で「達ちゃんクラブ」をつくり、山で学び山で遊ぶというテーマで都会の人や子どもたちに森林の役割や年輪などの見方を教えています。
 三人目は、奈良県森林組合連合会代表理事専務の堀内正之さんです。堀内さんは、京都大学農学部林業学科を卒業、奈良県庁に入植、林務行政に長年たずさわり、三年間林六長を歴任、退職後、県森連の専務という要職にある人です。私が、池山克宏県林務長にパネリストにと依頼したさいに「私より堀内さんが良い。行政通だし、現職でないから行政の枠にもとらわれず自由に話しができる」と助言をもらって、私と西本奈良市議とで堀内さんにパネリストにとお願いし、こころよくひきうけてもらいました。コーディネーターノ谷さんと私をふくめ四人のパネリストのうち合わせで、堀内さんから「奈良県林業といっても、吉野林業なのか、奈良県全体の林業の問題なのかはっきりしないといけない。また「川上から川下」(注2)までの活性化なのか川上の活性化に絞るのか、森林の経済的な面か国土保全や環境問題を含めた多様な機能か、シンポジウムの中心テーマをはっきりしないといけない」と貴重な助言を受け、短時間でのパネリストの発言、討論の中心点をさだめるうえでたいへん参考になりました。


充実したシンポジウムの内容
 第二に日本共産党主催のシンポジウムと奈良県委員会の「提言」が歓迎され、ンシポジウムの内容が、たいへん充実したものになったことです。
 来賓の福井良盟吉野町長は、「日本共産党がすばらしい会合を開いていただいた」ことに感謝すると挨拶、参院選前で、「今朝は自民党候補の奥さんと出会い、昼は民主党候補のお嬢さんと昼食をともにしてきた」と会場の笑いを誘い、「自民党がいまだこういう会合をしてくれたことがあるのか」と選対会議で代議士秘書にいってきたとのべ、ふたたび会場の笑いを誘いました。そして「共産党さんの呼びかけでも―でもといったら失礼だけれど、これだけの人が集まって、真剣な眼差しで座っているのは林業を取り巻く状況がそれだけ厳しくなっているのだ」といい、「いまや何党とか何派、親方とか子方とかいっているじだいではない、吉野の先祖の財産をどう使っていくのか、総力をあげて考えていこう」とよびかけました。
 また、討論のなかで、来賓として発言をコーディネーターからうながされた大谷一二川上村長は、三之公原生林の保全問題で村として原生林を買い上げたことにふれ、原生林は二千町歩(ヘクタール)ある。あと一○○町歩ほど買い上げる予定だと発言。その冒頭、日本共産党奈良県委員会に敬意を表明しました。
 主催者代表で挨拶した日本共産党の鎌野祥二参院選奈良選挙区候補は、国の木材自給率の長期目標が1995年に八二%になるという見通をたてていたが、実際は二二・四%(94年実績)とギャップが大きいことをあげ、八○年代にはいって外材依存を前提にして木材自給率が棚上げされてきた歴代自民党政権の失政を厳しく批判、森林と林業の再生めざし、木材の自給を高めていく立場で政治をおおもとから変えるために努力をすすめるとともに緊急にどんな手だてができるか関係者のみなさんの要望や実態をよくふまえ、努力する決意を表明しました。


パネリストの発言趣旨
 四人のパネリストの発言は次のような趣旨でした。
 堀内さんは、「四十年近く林業関係の仕事をしてきたが、共産党のみんさんと林業問題について真剣に話しをしたり、会合をもつということはかつてなかったこと」ときりだし、「林業の活性化について、四十年来ずっと悩み、苦しみ、いろいろしてきたが、これが活性化の道だというようなものは見いだせないのが実際」「現在の木材価格が非常に厳しく、林業の現状が厳しいのは、きわめて安い外材が大量に入ってきているのが市場の原因。外材の輸入制限というのは、言うが安く、実行は難しい」とのべたうえ、「生産性を向上し、生産コストをさげて、日本の木材価格を国際価格にいかに近づけるか」ということだと問題提起しました。そして、奈良県林業機械化センターで高性能の林業機械操作のオペレーター養成、大型機械の進入を可能にする林道・作業道づくりの技術指導などをすすめていることを紹介、遅れている間伐の促進(注3)と間伐材の利用促進の重要性についてのべました。
 岡橋さんは、大量の外在輸入と労働賃金の高騰などが加わって森林経営の循環の輪が切断された状態になっている、この輪を回復することは、循環型社会にとって重要な課題だと問題をなげかけ、林業が低迷しているのは構造的要素が非常に大きいとのべ、長期の不況もあるが、昨年四月から施行されている品質確保促進法によって住宅にたいするユーザーが、材木に対して無地、無節とか百年生のヒノキとかといったものから乾燥度や含水率などに重きを置くように価値観が大きく変わったことをあげ、日本の優秀な工業力、技術力を生かして、価値観の変化に対応した、「外材にまさる低価格で品質のよいもの」をつくることが大切と強調しました。
 そのうえにたって、会社独自で生産コスト、出材コストを削減をするために、高密度道路網づくりを早くからとりくみ、原木価格が下落してもなんとか山手が残っているとのべ、吉野の山は、峻厳なためにヘリコプター出材が主力で採算がとれない、「行政が、できるだけ幹線になる林道・作業道をつけ、従来の土木建設的発想から林業土木的な発想にチェンジして、メーター当たり単価を抑えて、できるだけ延長距離をのばすことが涵養」と発言しました。
 辻谷さんは、「林業とは木材生産、販売や造林、製材のみでなく、もっともっと広い意味を持っており、多目的な利用を考えるべきだ」と問題提起、四メーターのスギ丸太から
八個の椅子をつくり、よく売れている事例を紹介、付加価値を付けて収益をあげる問題、採算性がとれないで山に捨てられている間伐材の活用について提案しました。そのうえにたって、辻谷さんは、「山づくりは人づくり」という理念にたって機械化センターで「知識と技術をもった現場技術者」の育成に二十年計画をたててとりくんでいると報告しました。さらに、「長いスパーンの山づくりの生産目的を木材生産だけでなく、毎年少しでも収入につながる生産目的をたてた山づくり」を「総合的林業」と名前をつけてすすめている事例を紹介、(1ヘクタール当たり8000本から12000本の苗木を植える吉野の伝統的な超密植でなく)1ヘクタール当たり800本、1000本といった超粗植にしてその中に山菜、多年草の薬草、切り花、山椒、柿や栗などを植え、また簡単な丸太小屋を建て、都市住民を招いてバーベキューをしたり、自然観察をするといった、多目的な森林利用による楽しくできる林業経営を提言しました。
 私は、「提言」について、「なぜ日本共産党が林業シンポジウムか」という点にしぼって発言しました。というのは、シンポジウムの参加のお願いのなかで木材協同組合の幹部などから「自民党が本来、やるべきなのにやらない。なぜ、共産党がやらはるのか」と率直な疑問が表明されたこともあり、福井町長の挨拶にもこたえて、日本共産党は、一歩一歩階段をのぼるように、国民の総意にもとづいて社会をよくしていく立場にたっていること、資本主義の枠内での民主的改革が当面の大目標であり、当面、消費不況の克服のための国民の懐を豊かにすること、どの外国のいいなりにもならない自主的な経済の確立についてのべ、日本共産党は野党としてなんでも反対でなく、奈良県においても、重要課題である吉野林業をはじめ、奈良県林業について提言を発表し、シンポジウムを通して、関係者のみなさんの意見をいただいて林業再生と林業経営者や山で働くみなさんのためにがんばっていく決意を表明しました。


活発だった討論
 「北欧材など建築材としては二十年しかもたない。吉野材は百年もつ優秀な木材。大淀道の駅には当初四国、九州の木を使おうとしたが、吉野材に変更させた。なぜ、県などは、吉野材を使わないのか、要望書も何度もだしているが返事がない」(大淀町木材協同組合理事長)。
 「住宅にたいする消費者のニーズが変化している。買い手サイドに近づくような体制をとらなければ。スギの乾燥というの一つの大きなテーマ。それがクリアできれば需要も増えてくる。消費者も木に目を向けて欲しい。」(川上さぷり代表)
 「奈良で吉野材と自然材を使った環境共生住宅と名をうって毎月ユーザー向けセミナーを二十人から三十人が参加して開催している。なんとか行政のほうで支援して欲しい」(櫻井市の製材業者)
「外材の輸入規制は難しいと簡単にいっていいのか。日本の大手の製紙会社や商社が違法伐採であることがわかっていながらどんどん輸入してくる。外材輸入の規制をすすめることが大事。三之公原生林についてあと一○○fは伐採される危険性があるので公的資金で買収する方向にいかないか」(勤労者山岳連盟会員)
「吉野の山づくりをするときから尾根筋は広葉樹、天然林を残すという先人たちの状況はあった。しかし、拡大造林ということで補助金をもらって人工造林にしてしまったということがある。森林組合でいちばん困っているのは仕事がないということ。仕事がなかったら山村の活性化はなりたたない。自然保護は確かに大事。自然をまもるということと経済林とをどう両立させるか論議を重ねていく必要がある。」(川上村森林組合会長)
 そのほか「川上村で森林博を」(川上村無所属議員)「吉野郡の学校の廊下、机、椅子などに吉野のスギやヒノキを使ったら」(小学校教員)「消費者にみえるのは価格問題。品質や安全面、吉野材の品質の良さというのは消費者に伝わっていないと感じた」(背克協同組合連合会役員)などの意見がだされました。
 シンポジウムは、最後の核パネリストのまとめの発言があり、コーディネーターの谷さんが「今まで、吉野ブランドに安住して、なかなか具体的な動きが見えなかった吉野にも川上村さぷりや協同組合倭人など吉野材を普及していこうとするとりくみがされている。そういう動きがこのシンポジウムを機会に県下各地でおこってきて、それが大きくまとまり、力あるものになれば、きっと林業の活性化ができるのでないかと感じた。」としめくくり、盛会のうちに終わりました。
 党奈良県委員会は、参院選終了後、報告書をまとめ、参加者に配布し、このシンポジウムを契機に林業関係者の切実な要求実現のために奮闘します。
以 上


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