2009年3月8日

世界遺産「古都奈良の文化財」・
特別史跡
「平城宮跡」の国営公園化
問題について(上)


 特別史跡「平城宮跡」の国営歴史公園としての整備が決まりました。1月、日本共産党が発表した同問題についての見解(全文)を紹介します。

はじめに

 特別史跡「平城宮跡」の国営公園化が、国土交通省と奈良県によってすすめられ、2008年12月5日には、その整備基本計画が決定された。
 いうまでもなく「古都奈良の文化財」として世界遺産に登録されている特別史跡「平城宮跡」は、「良好に保存された古代の宮殿遺跡として、世界に誇る国民的文化遺産」(文化庁・1978年策定、「特別史跡平城宮跡保存整備基本構想」)である。
 この構想では、特別史跡「平城宮跡」を「遺跡博物館」と位置付けたうえで、以下の3つの機能をもとに、段階的・計画的にその整備を進めることを基本方針としてきた。
 3つの機能とは、@国民各層が古代都城文化を体験的に理解できる場、A調査・研究向上の拠点、B遺跡・遺物の保存修復・整備に関する技術開発・技術蓄積の場ということである。(「特別史跡平城宮跡保存整備基本構想推進計画」:2008年5月13日)
 特別史跡「平城宮跡」は、この基本構想に基づいて約30年間にわたる発掘調査、整備等が行われてきたものである。
 この国営公園化問題については、特別史跡「平城宮跡」の世界遺産登録運動を市民、関係者のみなさんといっしょにすすめてきた党として看過できない問題があると考えている。この問題について日本共産党奈良県委員会・同県会議員団のさしあたりの見解を率直に示し、広く県民のみなさんと関係者の検討を呼びかけるものである。


平城遷都1300年記念事業と国営公園化問題の経過

 奈良県は、2010年が藤原京から平城京に遷都して1300年目にあたるとして、平城遷都1300年記念事業を実施することを1995年に策定された「奈良県新総合計画」に盛り込んだ。
この計画にもとづき、1997年には柿本前奈良県知事を責任者とする「平城遷都1300年を考える奈良の会」が設立され、1999年には「平城遷都1300年記念委員会」が設置された。2001年3月には「奈良県新総合計画後期実施計画」が策定され、そのなかで「平城遷都1300年記念事業計画」を打ち出した。
 2006年2月には、平城遷都1300年記念事業協会が「実施基本計画」を策定し、その会場として特別史跡「平城宮跡」を使用する方針を示した。
 ところが文化庁は、特別史跡「平城宮跡」内でのイベント開催や施設の設置、近鉄奈良線の仮設駅建設などについて、「平城宮跡」の維持管理の上から難色を示したことから、平城遷都1300年記念事業の主会場が定まらなくなった。
 2007年5月に就任した荒井正吾知事は、自らのマニフェストに、『奈良の明日香、藤原京、平城京を世界遺産の上にある奈良の貴重な文化財と位置づけ、三者一体となった国営公園化も視野に入れ…』として、特別史跡「平城宮跡」を『将来、サミット、日中、日韓、日印の首脳会場、朝賀の儀の場として利用できるなど、奈良観光のゲートウエイかつ日本の歴史文化体験のメッカとして…、整備』することを公約し、『そのため、必要ならば、1978年に策定された、「平城宮跡保存整備基本構想」の見直しも行う』とした。
 知事就任後は、特別史跡「平城宮跡」の国営公園化を精力的に国に働きかけ、2007年12月には、国営公園化が政府予算に盛り込まれ、2008年10月28日には国営公園化が閣議決定されるに至っている。
 全国で、地方自治体から政府に対して、国営公園化を望む要請が数多く寄せられているといわれているなかで、特別史跡「平城宮跡」の国営公園化は異例の早さで進められた。
この国営公園化にあたっては、既に国営公園として運用されている「国営飛鳥歴史公園」に併合して、「国営飛鳥・平城宮跡歴史公園」として整備されることとなった。その上、平城遷都1300年記念事業の実施が閣議了解されるに至ったものである。
 国営公園化が異例の早さですすめられたことは、このことで、世界遺産に登録されている特別史跡「平城宮跡」の発掘調査・研究、保全と維持管理にどのような問題点が生じるのかなど、総合的に分析・検討する時間も充分でなかったことを意味している。
 「平城宮跡」は、「遺跡博物館」と位置づけられ、この方向にそって発掘、研究がすすめられ、世界遺産に登録されたものである。それだけに、国営公園化による影響などを充分な検討をぬきに「奈良観光のゲートウェイ」とする「観光」政策の推進という角度からすすめられたことは、これまで文化庁がすすめてきた「平城宮跡博物館構想」から、観光施設化、都市公園化に重点を移すことにあるという、重大な問題を生起させるものである。
 ことに、平城遷都1300年記念祭の会場に使用するという奈良県の計画が、さらにこの国営公園化への拙速さを生み、後日、重大な問題を引き起こしかねないという懸念を率直に指摘せざるをえない。


国営公園とはなにか

 国営公園とは、都市公園法に定められた都市計画施設である公園または緑地とされている。
 閣議決定された特別史跡「平城宮跡」の国営公園化とは、同法第2条第1項第2号に定められたロ号公園で、「国家的な記念事業として、又は我が国固有の優れた文化的資産の保存及び活用を図るために閣議の決定を経て設置する都市計画施設である公園又は緑地」である。
 この国営公園の設置・維持管理は、国土交通省都市・地域整備局公園緑地課が担当することになる。国営公園は都市公園とされ、その性格は「人びとのレクレーションの空間となるほか、良好な都市景観の形成、都市環境の改善、都市の防災性の向上、生物多様性の確保、豊かな地域づくりに資する交流の空間など多様な機能を有する都市の根幹的な施設」(都市公園法運用指針2004年12月国土交通省都市・地域整備局)だと規定されている。


ロ号国営公園と設置理念

 全国に17カ所の国営公園が設置されているが、このうちロ号公園は、@国営武蔵丘陵森林公園(68年3月12日都市計画決定:有料)、A国営飛鳥歴史公園(71年7月30日都市計画決定:有料)、B国営沖縄記念公園・首里城公園・海洋博公園(76年3月22日都市計画:施設有料)、C国営昭和記念公園(81年11月27日都市計画決定:有料)、D国営吉野ヶ里歴史公園(93年3月15日都市計画決定:有料)の5カ所となっている。
 今回の「平城宮跡」の国営公園化については、「国営飛鳥歴史公園」と一体化し、「国営飛鳥・平城宮跡歴史公園」として整備されることが決定されている。
                                    (次号に続く)
 
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